SSKA頸損 No.129より PDFファイル

20年ぶりの飛行機でいく「リハ工学カンファレンス in さっぽろ」

愛媛頸髄損傷者連絡会  鈴木 太

 世の中夏休み中で暑さの続く8月21日から23日まで、北海道札幌市の北海道科学大学で開催された第34回リハ工学カンファレンス in さっぽろへ参加してきました。このカンファレンスは障害のある様々な方が生活をより豊かに実現するための工学支援技術を発表し、議論・交流を深めよりよい生活のヒントを見つけようというものです。

 今回私がカンファレンスに参加して気になった発表・支援機器は、「在宅での利用を考慮した軽量・コンパクトな電動リクライニング・ティルト式電動車椅子の開発・(第4報)~生活場面を考慮した走行性の実現~北野義明(石川県リハビリテーションセンター)」という発表では、よりよい機能を持った電動車椅子を求めると重量が重くなってしまう中、電動チルト・リクライニングを備えて重量50キロ、車幅54cmと聞くと興味の多い方がいらっしゃるのではと思いました。

・「相対湿度50%における頸髄損傷者の至適温度範囲の再検討三上功生(日本大学生産工学部建築工学科)」では、発汗障害のある頸損者が健常者とは違う体温変化を起こすことにより、求められる住環境の注意点や衣服の対策を感じることができました。ぜひ、寒い場合の調査もお願いしたいと、発表後の交流会でお伝えすることもできました。

・周辺の市民を対象とした市民公開講座も開催され、「障害者・高齢者に優しい観光in北海道吉田拓哉(株式会社HKワークス)」では、観光都市北海道がバリアフリー観光に取り組む現状を知ることができ、次回観光で訪れた際は今回お知り合いになれたネットワークを活用した、障害者だからできる北海道の旅を経験してみたいと思いました。

 ちなみに私も発表させていただき、「海外製電動車椅子利用頸損者のドア事情」ということで、昨年導入した自動玄関ドアのある生活を報告してきました。

 実りの多いカンファレンスであったのですが、実は現地についた時点で体はクタクタでした。避けてきた飛行機に20年ぶりに乗るということで何カ月も前から準備したのでした。

 電動車椅子が大きいので積み込み可能な飛行機の大きさ、羽田経由での移乗回数を少なくするため、朝早い岡山-新千歳という直行便ルートを選択しました。それが裏目に出ました。一番に飛行機へ通され座席に着席。後は出発という時点で客室乗務員さんがザワザワっと。「どうやっても電動車椅子が荷室に乗らないので、大きいサイズの飛行機で羽田を経由して新千歳まで行ってほしい」と。そこから飛行機を降り、4時間遅れで羽田へ、乗り換えて新千歳。

 カンファレンス会場についたら、17時過ぎていました。そのため、1日目(8月21日)に開かれた、香川(4月)、高知(7月)のシンポジウムからの発展版シンポジウム「持ち上げない介護」の議論には参加できませんでした。

 ちなみに、帰りは、カンファレンス会場にいた技術者や業者の手を借りヘルパーさんが指導を受け、借りた工具で空港職員がアームレストを分解し、直行便で帰ってきました。

 そして想像以上の疲れと寒さで動き回れず、唯一の収穫が札幌駅直結のJRタワー展望室にある多目的トイレがガラス張りという発見にテンションが上がった札幌の旅でした。

 次のリハ工学カンファレンスは北九州です。オリンピック・パラリンピックの開催があるため気候的には過ごしやすい2020年10月24日から26日開催になります。多くの頸髄損傷者連絡会メンバーも参加していますので、興味のある方はぜひご連絡いただき一緒に参加しましょう。

第34回リハ工学カンファレンスinさっぽろ

次回 第35回 リハ工学カンファレンス 北九州
会期予定 2020年10月24日(土)~10月26日(月) 会場予定 AIM(アジアインポートマート)3階
福岡県北九州市小倉北区浅野3丁目8番1号
第35回リハ工学カンファレンス案内