SSKA頸損 No.129より PDFファイル
東京パラリンピック300日前
「10.30 UDタクシー全国一斉乗車行動!」報告
全国頸損連絡会副会長 八幡孝雄
DPI日本会議では、2019年10月30日、車椅子利用者による、全国一斉ユニバーサルデザインタクシー(以下UDタクシー)乗車行動を実施し、全国21都道府県で、延べ120名の車椅子ユーザーに協力頂いた。調査にご協力頂いた皆様には心より感謝申し上げたい。
DPI日本会議のHP http://dpi-japan.org/ に調査結果、および2019年11月14日国交大臣に提出した「ユニバーサルデザインタクシーの適切な運用を求める要望書」、また2019年11月19日付け、国土交通省自動車局旅客課長から全国ハイヤー・タクシー連合会に対して出された通達「ユニバーサルデザインタクシーによる運送の適切な実施の徹底について(国自旅第191号の2)」を確認することが出来る。
国交省の通達はDPI日本会議の要望を受けて出されたものである。
■ 乗車行動の目的
国土交通省は2018年11月に「ユニバーサルデザインタクシーによる運送の適切な実施について」という通達を出し、車椅子利用者の乗車拒否は道路運送法に違反するので、障害がある人たちに必要な合理的配慮を的確に行い、UDタクシーの運転、予約、配車その他の業務に携わる者に研修を受講させ、UDタクシーを指定した予約・配車が可能サービスを充実させること等、必要な環境整備を図るように業界に求めた。
しかし現在でも車椅子利用者に対する乗車拒否は起こっている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、海外から多くの車椅子利用者の来日が予想されるが、このままではUDタクシーの乗車拒否が多発してしまう。
乗車拒否が多発している要因は、ドライバーの接遇と車両の構造上の問題が考えられる。実際に多様な車椅子利用者が乗車することを通して、乗車拒否の実態把握と、乗車するためのバリアがどこにあるかを調査して、結果をまとめ、事業者、メーカー、国交省等へ改善を働きかけ、真に誰もが利用できるUDタクシーを目指したいと考え、UDタクシー全国一斉乗車行動を行った。
■ 乗車行動の結果報告から
調査報告によると、乗車拒否は全国平均27%で、特に地方で不適切な運用が目立っている。都心部では、運転手の研修を繰り返し実施して車椅子の乗降方法の理解が進み、接遇が改善されている事業者も多かった一方で、地方では、電動車椅子はUDタクシーには乗車できない、車椅子を乗せるには30分以上かかる、といった誤った情報があった。車椅子の乗降方法を知らない、研修を受けていない、UDタクシーを指定した配車はできないという事業者も多くあった。
車椅子を乗降させる時の作業工程が多く運転手の負担になっている。室内が狭くて車椅子を回転できない、乗り口や天井に頭があたって乗車できない、といった意見が出ている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックには、海外の車椅子ユーザーの来日も予想されるが、海外製車椅子は日本より大型のものが多く、乗車できない事例が多発するのではないかと危惧される。
■ 今後に向けて
UDタクシーの乗車拒否の根本的な解決には、接遇問題ばかりでなく、世界基準を踏まえた「標準仕様ユニバーサルデザインタクシー認定要領の見直し」等も必要だと考える。
UDタクシーに関係する各方面には、これからもきちんと当事者の声を届け、誰もが利用しやすいUDタクシーの環境作りを求めていきたい。
参考
【ご報告】全国一斉行動!UDタクシー乗車運動アンケート集計結果について : DPI 日本会議
2019年11月12日
UDタクシーの通達がでました!ユニバーサルデザインタクシーによる運送の適切な実施の徹底について : DPI 日本会議
2019年11月26日