SSKA頸損 No.129より PDFファイル
「アクセス関西ネットワーク集会」
大阪頸髄損傷者連絡会 赤尾 広明
● バリアフリーで夢の実現!
2019年10月10日。大阪頸髄損傷者連絡会と兵庫頸髄損傷者連絡会が団体加盟するアクセス関西ネットワークの集会が神戸市で行われました。近畿2府4県の障害当事者、障害者団体がユニバーサルデザインのまちづくりや交通アクセス問題に取り組む団体で、毎年10月10日は集会としてバリアフリー関連の学習会、当事者の講演、各地域の取り組み報告などを行いますが、この日のプログラムの一つにあった「アクセス関西表彰」がとても有意義かつ目のつけどころが画期的な取り組みでした。それは“須磨ユニバーサルビーチプロジェクト”というもので、障害があっても気軽に安心して海水浴を楽しんでもらいたいという気持ちから生まれたプロジェクトです。
頸損者の多くは「車椅子では海を楽しめない」と諦めていると思います。僕自身、以前砂浜に向かって車椅子で突っ込んだら電動車椅子が突然動かなくなったことがありました。ま、単純にタイヤが砂にとられて身動きできなくなったのですが、よくよく考えれば当然のこと。砂利道やあぜ道にしても車椅子では移動困難ですよね。ところが、このプロジェクトでは砂浜にブルーシートのようなビーチマットを敷いて移動可能にして、波打ち際まで行けるようになったら“ヒッポキャンプ”と呼ばれる水陸両用車椅子を使ってそのまま海に入れちゃうのです。ビーチマットとヒッポキャンプの導入で「できない」ことが「できた」に変えられたわけで、ただ楽しみたいだけな
のに障害があるから「できない」って諦めるのはおかしい。諦めたくない気持ちがもたらした挑戦で、これまで誰もが意外に考えつかなかった斬新なアイデアです。今ではシャワーや更衣用テント、ビーチで遊ぶためのアイテムも導入されていますし、ビーチマットがあれば田植え作業も可能で、車椅子やベビーカーで通行が困難な場所で大活躍しているそうです。
● 議論の場に当事者が参画する!
その後は各地域の取り組み報告があり、兵庫頸損連からは「明石駅周辺のバリアフリー調査」の報告が行われました。最後に記念講演が行われ、「地域課題から国への提言」と「活かそう!バリアフリー法改正~当事者評価から見た好事例と課題」の二本立て。これまでに行われた具体的な調査内容から見えてきた地域課題は地域から国へ!移動円滑化評価会議の俎上に載せる必要がありますし、今後は改正バリアフリー法で導入されたマスタープランを活用した明石市の好事例を参考に、地域における取り組みを強化していくことが求められます。バリアフリー化整備目標の進捗状況を踏まえながら、議論の場に障害当事者が参画し、評価することも重要となります。
集会には約150名の参加がありました