多機能トイレ《入口表示についての一考察》前半の抜粋 SSKA頸損 No.130

SSKA頸損No.130 2020年2月25日発行

多機能トイレ《入口表示についての一考察》
前半の抜粋

2018年8月27日
京都頸髄損傷者連絡会
平野功

1.多機能トイレの表示の現状

  • 利用対象者について、
    「だれでもお使いください。」「思いやりの心を持って利用しましょう。」「身体障害者専用のため一般の方はご使用をご遠慮願います。」のように施設によって違って書かれるなど、多機能トイレが一体誰のために設置されているのかの認識がバラバラである。
  • 機能を表すマークがあるが、表示形式がまちまちで統一性がない。・男女共用を示すのに、一般利用者(一般トイレが利用できる者)のマークが使われていたりして、一般利用者も同じように使用できると誤解されやすい場合がある。
  • 啓発文章がトイレ内に掲示されていることがあるが、入る前に見える場所に掲示しなければあまり意味がない。

2.多機能トイレは誰のためのトイレか

  • 元々、車いす利用者が使いやすいように作られた車いす用トイレが、一般トイレが利用しにくい方も使えるように、ユニバーサルデザインとして多目的トイレ・多機能トイレとして設置されてきた。
  • そのとき、誰が使っても使いやすく便利なためか、「だれでもお使いください。」や「みんなのトイレ」として呼びかけられ、一般利用者も自由に使い始めた。しかし、数が一般トイレに比べて圧倒的に少なく、一般利用者までが使うと、多機能トイレしか利用できない者が待たされるということが多くなってきた。
  • そういった不便さを訴えていくことで、京都市では「どなたでも御使用ください。」等、真に必要としない方の使用を促す趣旨の表示を外す、又は見えないようにしたり、真に必要とする方に係る啓発を図るため、「車いす使用者、妊婦、身体の不自由な方など、このトイレを必要とされている方がいますので、思いやりの心を持って利用しましょう。」と表示するようになった。
  • しかし、いくら思いやりの心を持っても一旦トイレを使ってしまえば終わるまで使用することになり、空いてるトイレを普通に使うのと同じことになってしまう。
  • 優先席のように優先トイレで良いのでは考える人がいるが、一般席も使用できるがさらに優先席を作っている電車に対し、トイレの場合は一般トイレが使用できず多機能トイレしか使用できないという違いがある。優先席なら座っていても高齢者が来たらすぐに席を譲れるが、多機能トイレは必要な方が来ても排泄中に譲ることは不可能なのである。そもそもやってきたことに気づかないことも多いはずである。
  • 一般トイレが空いてなかった場合は使っても良いのではという考えも、多機能トイレを一般トイレの一番奥にあるトイレと同レベルで扱うことになる。一般利用者の場合、手前の便器が空いていたら近い方から使うだろうが、ずっと空いてなければ奥まで行って、全てが空いてなければどこかが空くまで待つことになる。しかし、たまたま一番奥だけが空いていたとしたら普通にそこを使うだろう。こういう使い方と同じになるのである。「優先」と言うと聞こえが良いが、この使用方法では結局多機能トイレしか利用できない者に対する配慮が全くない。
  • 全てのトイレが障害など関係なく誰でも使えるトイレになることが理想だが、そうなっていない現状で、ただでさえ数の少ない多機能トイレしか利用できない者に対して配慮をするのなら、最初から一般利用者は多機能トイレを使用するべきではないはずである。つまり、多機能トイレはその機能を必要としている者にとって「優先」ではなく「専用」のトイレでなければならない。
  • そこで、「このトイレは上記の機能を必要としている方たちのための多機能トイレです。一般トイレを利用できる方は使用しないでください。」「このトイレは上記の方たちに必要な機能を備えた多機能トイレです。一般トイレを利用できる方は一般トイレをご利用ください。」「このトイレの機能が必要な方のみご利用ください。」などのようにはっきりした表現の記述にすることが求められる。

3.多機能トイレに必要な機能は

  • 多機能トイレの利用者の要望、設置者の意向、設置現場の状況、予算などによって、持っている機能はまちまちである。
  • 現在、多機能トイレが持っている機能としては、
    ①車いす利用者をはじめ、身体障害者の方にとって必要な機能
    ②オストメイトの方にとって必要な機能
    ③高齢者の方にとって必要な機能
    ④子ども連れでの使用やおむつ交換、着替えなどに必要な機能
    ⑤妊婦の方にとって必要な機能6支援中の大人の介助、おむつ交換などに必要な機能
    などがある。
  • 最近は混雑を解消するために機能の分散化が言われているが、それによって多機能トイレの数が増えなければ、機能によって使用できる多機能トイレが減るだけで意味がない。多機能トイレの数を増やすことが重要である。
※本考察は前半部分を抜粋し作成。全ページ(約40P)を希望する方は、事務局編集部までご連絡ください。

関連記事:

カテゴリー: 機関誌「頸損」記事 パーマリンク