障害者バンド「Dans Cur( ダンクール )」

SSKA頸損 No.129より

障害者バンド「Dans Cur( ダンクール )」

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東京頸髄損傷者連絡会 柴崎 愛

 私は現在、障害を持つ仲間とともにバンド活動をしています。バンド名はDans Cur(ダンクール)。フランス語で「ハートの中」という意味です。可愛らしいイメージとは裏腹に、メンバー行きつけの居酒屋名をフランス語にしてみただけなのだとか(笑)。ヴォーカルの私は頸損であり楽器隊は視覚障害者という、障害者のみで構成された珍しいバンドです。メンバーとの出会いは、国立障害者リハビリテーションセンターでした。ほぼ全員が視覚障害者で構成されている軽音楽部でしたが、見学に行ってそのまま入部(笑)。障害は違っても、音楽という共通の趣味があったから自然に溶け込むことができたのだと思います。施設はバリアフリーなので、不便を感じることなく部の一員として楽しく過ごしていました。
 今は全員が寮を出て地域生活に移行し、仕事をしながらの活動です。施設と違って、車いすで入れる練習スタジオやライブ会場を探すところから始まりました。練習はだいたい月に1回やっていて、練習の後はいつも飲み会!音楽の話から日常の何気ない話まで、話題が尽きません。気の合うメンバーと飲みながらワイワイしゃべる時間も楽しみのひとつです。
 2016年5月に、北浦和にあるライブハウス「Ayers(エアーズ)」にて初ライブを行いました。会場は地下1階でエレベーターがあり、楽屋からステージへもスロープになっていて車いすでも大丈夫。施設にいた頃は講堂でライブをしていたので、ライブハウスとは全然雰囲気が違います。家族や親しい友人だけを呼んだ身内ライブでしたが、ものすごく緊張しました。でも、何とも言えない達成感というか、ライブ特有の高揚感というか、そういうものが味わえて、またやりたいなと思えるライブでした。

 2016年7月に、ウェディングパーティーを開きまして(入籍は2015年1月でした)、余興としてバンド演奏をさせてもらうことになりました。余興って普通は友人にやってもらうものじゃない?花嫁自身がウェディングドレス姿で歌うのってどうなの?という疑問もありましたが、「一番好きなことやっている姿をみんなに見てもらうのがいいよ」という旦那さんの後押しもあってライブを決行しました。自分たちで楽器レンタル業者を手配し、ドラムセットやアンプ類を持ち込んでの演奏という初めてのスタイルで、いい経験になりました。パーティーの参加者は私の友人が多かったこともあり、みんなノリノリで聴いてくださって嬉しかったです。
 2017年10月にはライブハウス「Ayers」での2度目のライブを行いました。10月末だったため、ハロウィンライブと題して仮装しています。ウェディングパーティーに来ていた人がライブにも来てくれるようになり、お客さんが増えました!

 失明する前にアパレル業界で働いていたメンバーが、「視覚障害者は見られることに疎くなりがちだから、自分たちのライブではファッション性を意識したい。」と言っていて。1回目のライブでは全員がボーダー柄の服を取り入れていたり、2回目は仮装してみたりしています。ちょっとした工夫なのですが、障害の特性ゆえに疎かになりがちな部分を意識するのは大切なことなのではないかと感じます。

 ハロウィンライブの後にメンバーが1人休止して、新しく1人加入しました。リハビリセンターで同時期に過ごした人ではなく、私たちが退所してから入所した人です。施設にいる間だけ音楽活動ができればいいという人もいますが、地域生活になっても音楽活動を続けたい人もいるでしょう。音楽への熱意がある人には、声かけしていけたらいいなと考えています。
 病気が理由で全盲になったり弱視になったりした人もいるので、体調不良者が多い時は練習を休みにせざるを得ません。もちろん、私の体調がすぐれない時もあります。ハロウィンライブ以降はなかなかライブの目途が立たずにいますが、これからもダンクールは活動を続けていきます!
 私たちのバンドは、全員が障害者ということもあり、「障害を持っていても趣味を楽しみながら生きている人もいるんだよ♪」と発信していきたいと思っています。ライブ動画をYouTubeにアップしたり、活動ブログを運営したりしています。皆さんに視聴していただけたら嬉しいです。

※以前に、兵庫頸損の会報誌やはがき通信にて掲載していただいた内容に加筆修正しています。

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