車椅子 de アメリカ留学レポート

SSKA頸損 No.129より

車椅子 de アメリカ留学レポート

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東京頸髄損傷者連絡会 戸石 薫

1、皆さん初めまして、戸石 薫と申します。
僕は大学3年の時に船で世界一周に挑戦し、途中で事故に遭って頸髄を損傷しました。
4年間、福岡や別府でリハビリをし、もう一度海外旅行がしたいと思い、その後2年間働いてお金を貯めました。
今年の6月~8月の半ばまでの約2ヶ月半の海外留学に挑戦してきました。
場所はカルフォルニア州のオレンジカウンティという所です。ロサンゼルスから車で1時間程の場所で、そこまで都会ではないのですが山やキレイな海に囲まれた素敵な街でした。
日本にいる時に、元介護士の方がいるホストファミリーを頼んでいたので、必要な時は助けてもらい、日常生活をおくることが出来ました。
平日は語学学校に通い、土日はほとんど一人で旅をしていました。
特にメキシコに行ったときは、バスや長距離列車の乗り継ぎ、初めての陸路で国境越え、マフィアが支配する街テファナ等、とても刺激がありましたが、いやー心臓が縮みました。


メキシコの列車で同じだったおばあちゃん

アメリカのいい所は、やっぱりどこもバリアフリーな所ですね。
もちろん法律が関係してるのでしょうが、僕が行った観光地やレストラン、ショッピングモールにテーマパーク、パラグライダーのアクティビティ等、車椅子でも思いっきり楽しめました。

2、GotoAngels!
自分の住んでいた場所から車で20分ぐらいで大谷選手のいるエンゼルスの球場があったので、そこにも行ってきました!
エンゼルススタジアムは思ってたよりもでかく、1階~3階に続く広いスロープがありました。車いす席があるというよりは、イスのないスペースが2階からぐるっと一周あり、車いすの人が500人で押し寄せても余裕で入ると思います。試合を見ながらピザを11ドルで買って、エンゼルスの帽子を30ドルで買いました。(ちなみに帽子は近所のスーパーで買えば10ドルですみました)メジャーリーグは音楽がなく、いいプレーには拍手を送りいい選手を応援しとにかく自由で笑顔とリラックスの場所でした。生の大谷選手はやはり、スラッとしていてキャプテン翼のような、何頭身だよっ、と言いたくなる日本人離れした体格でした。
チームは9-3で負けましたがいい思い出です。

3、無理と言わないアメリカの絶景アクティビティ
上記にさらっと書きましたが、僕はアメリカでイス付きのパラグライダーに挑戦してきました!
「ロサンゼルスアクティビティ」とネットで調べて出てきた。海の上や雲の上を飛び回る、バイクとパラグライダーが合体したような乗り物。
「これは絶対乗りたい!」と思い、即英語でメールし、自分の身体の事を伝えました。
返ってきたメールは「たぶん、大丈夫だよ!」と、軽い。
見た感じ危険なので断れるかも知れないと思ったのですが、さすがアメリカ、楽勝みたいです。当日僕は、一般の2倍のシートベルトを締めてもらい、絶対に落ちない事を確認し、空港の端のエリアから羽のついたバイクに乗り、猛スピードで空に駆け上がりました。
その瞬間「正直、僕の人生は今日で終わった」と思いました。


だって体幹のない僕がバイクに乗り、空を飛んでいるんですよ。

どうなるか皆さんと同じ事を思いました!結果から言えば、無事に離陸出来ました。
雲の上と下を自由自在に行き来し、窓ガラスのない空の上、そこから見える太陽は、今までのどんな景色よりも絶景でした。

4、留学を終えて
アメリカから帰国して、改めて日本料理の美味しさに気づき、日本のトイレと安全さと街に溢れるテクノロジーは世界一なんじゃないかと思う一方、アメリカのバリアフリーと比べると、まだまだ日本は設備や人の意識に対してアプローチを続けて行かなくてはならないと思いました。

現在、僕は東京でユニバーサルデザインのカルチャースクールを起業しようと思っています。車椅子の方も、どなたでも通えて、語学だったり、アートだったり、プログラミング等を、趣味の一環として学べる場所です。
アメリカでは街中に車椅子の人も大勢いて、自分も障害の事を忘れてましたが、日本では、それを感じてしまう場面があるので、ユニバーサルデザインで誰でも一緒に学ぶ環境が出来れば、少しずつ日本もインクルーシブな社会になって行くのかなと思いました。

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